2008年10月27日月曜日

ストレージ仮想化で効率的なディザスタ・リカバリを実現

複数のストレージ/サーバ・ハードウェアを仮想化ソフトウェアで統合管理

 家出やホームレスの子供たちの保護を行っているカナダの保育施設運営団体コヴナント・ハウス・トロント(Covenant House Toronto)は、1年ほど前からディザスタリカバリ計画を進めていた。災害時においても、保育施設にいる子供たちの情報へアクセスできるようにするためだ。

 Covenant House Torontoの情報システム・コンサルタントを務めるウェンディ・クレイグ(Wendy Craig)氏によると、「災害が起きた場合にも、重要なアプリケーションが災害発生から数分~数時間で再起動し、寄付金など必要な資金が途切れることなく入って来るようにする必要があった」という。

 Covenant House Torontoは、カナダ・トロントに本拠を置くInterware Systemsと協力して作業に当たった。Interware Systemsは、構築するシステムの基盤として、サーバ仮想化を実現するためのモジュラ型アプローチ「Total Enterprise Virtualization(TEV)」と、米国DataCore Softwareのストレージ仮想化ソフトウェア「SANmelody」を組み合わせた。

 Interware Systemsシニア・パートナーのラック・ギル(Lak Gill)氏によると、Covenant House Torontoのストレージ・インフラは「あちらこちらに分散していて、中央で集中管理できるような構造ではなかった」という。Covenant House Torontoで利用していたストレージ・アレイは古く、データがすぐに満杯になってしまうという問題を抱えていた。また、ストレージが複数のアプリケーション・サーバに割り当てられている状態で、処理能力を超えてしまっていた。

 ギル氏は、「ハードウェアが特定のベンダーに偏ることを避けようとした結果、ストレージ・インフラが無秩序な状態になってしまうことがよくある。しかし、こうしたストレージ・インフラを管理するのに適したツールは存在しない」と述べる。

 「構成変更前は、バックアップデータをテープ・メディアに保管するという手法を採っていた。これでは、災害時の復旧はかなりたいへんな作業となっていただろう。OSをリロードし、テープ・ドライブを接続し、データをリロードするという手順になるが、数週間とは言わないまでも、数日間はかかっていたはずだ」(ギル氏)

 今回のディザスタ・リカバリ計画を進めるに当たり、まず分散しているストレージを統合する必要があった。この作業においては、ハードウェアに依存しない仮想化環境を構築できるSANmelodyが役に立ったという。ギル氏は、「自分で購入したサーバやバックエンド・ストレージを、統合的に管理できる」と仮想ストレージ・ソフトウェアのメリットを説明する。

 DataCore Softwareの製品マーケティング・グループを率いるオージェ・ゴンザレス(Augie Gonzalez)氏は、「自社のインフラにストレージ仮想化のメリットを取り入れようとする動きが急速に進んでいる」と語る。「データセンターで、仮想マシンのライブ・マイグレーションやフェールオーバの利点を生かすためには、ストレージ仮想化の基盤が必要となる。そのことに多くの人が気づき始めた」(ゴンザレス氏)

 Covenant House Torontoのストレージ仮想化が完了すれば、災害が発生した場合でも、ヘッドオフィスにあるデータは瞬時にディザスタ・リカバリサイトにコピーされ、同団体に関わるの150名のユーザーは継続して情報にアクセスできる。「どんな原因であっても、ヘッドオフィスのシステムが停止したら、わたしたちが数分のうちにディザスタ・リカバリ・サイトの仮想サーバを稼働させ、外部からアクセスする手段をユーザーに提供する」(ギル氏)

出典:コンピュータワールド